山口県立柳井高等学校 100周年記念サイト

あとがき

記憶とは不思議なものであり、是非とも留め置かなければならないはずの事柄が忽然と消え去り、一方でどうしてこんなことをと思われるものがいつまでも脳裏から離れない。また一つの言葉や一枚の絵画を経て何十年もの歳月を超えて突然蘇ってくる記憶もある。記憶は断片的であり決してすべてが秩序正しく並んでいるわけではない。しかし何故かその一コマ一コマは鮮烈である。この記念誌『百年のあゆみ』を通じてそのような記憶の不思議さを噛みしめ、迷路のごとく入り組んだ記憶をたどりながら過ぎ去った日々に思いをめぐらせる愉悦に浸っていただきたい。先輩諸氏の手になる大著『75周年記念校史』をめくりつつ何度もため息をつきながら辿り着いた結論がこれであった。それは『75周年記念校史』に匹敵するものの刊行には到底力及ばず、であるならば却って別の趣向で「百年のあゆみ」をたどりたいという一種の開き直りでもあった。従ってこの記念誌は柳女・柳中から現在の柳高に至る100年の歴史を著述した歴史書・学術誌の類ではない。一応は時代の流れに沿いながらもここに記されたものはこの100年を彩った一コマ一コマの記憶の集積である。内容も必ずしも100年の歴史の中の重要事項を網羅した訳でもない。ほんのささやかなエピソードも入れさせていただいた。100年という歳月はあまりにも長く、そこに刻まれた足跡は膨大であり、やむを得ず割愛したものも少なからずある。しかし、願いはこの記念誌が単なる記憶の集積にとどまらず、「記憶の玉手箱」とならんことである。この小誌を手にされた皆様の一人ひとりがその記憶の数々をつむぎ併せ、足らざる箇所を継ぎ足しつつこの100年に及ぶ壮大なピラミッドを読者自身のものとして心の中に築いていただければ幸いである。

終わりにこの記念誌編纂に様々な資料を提供していただいた方、快く寄稿を引き受けていただいた方に心よりお礼申し上げると共に、せっかく資料を提供していただきながら紙面の都合上掲載できなかったものが多々あったことをお詫び申し上げたい。そしてこの記念誌編纂に多大の労を重ねていただいた株式会社「ぎょうせい」のスタッフの方々にも心よりお礼申し上げたい。

平成19年10月19日

創立一〇〇周年記念誌『百年のあゆみ』編集委員会

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